3学期 始業式 校長 古賀誠子
第3学期 始業式 「新年あけましておめでとうございます。」
校長 古賀 誠子
新年あけましておめでとうございます。
今日は雪が降っています、窓から見える雪景色が綺麗ですね。今日は中庭の様子が、いつもと違っていて新鮮です。さて、みなさんは、冬休みをどのように過ごしましたか。私は、大掃除、お正月の準備、そしてお正月と慌ただしくも充実した日々でした。家族と一緒に大掃除をする、一緒に料理して食卓を囲む、当たり前の時間のように思えますが、とても貴重な時間、大切に過ごしたいものですね。家族あっての自分です、お休みの時は姉妹や兄弟、そして両親のために仕事ができるとよいですね。『私たちには限られた時間が与えられていて、時間とは「命」です』、とシスター入江が先日高3の講演会でおっしゃいました。今日からみなさんと過ごす私の「命」を有意義に使いたいと思います、今年もどうぞよろしくお願いします。
今日の聖書の箇所は、マルコによる福音書 第2章、21節~22節からでした。主イエスと弟子たちが罪人たちと食事をしていることに不信感を持った人々が、「断食」の問題を取り上げて、イエス様に「断食」をどのように考えているかを尋ねている場面です。断食はイスラエルの国においては、空腹の苦しみの中で、自分の罪を悔い改め、神に赦しを求めて祈るという宗教的に大事な意味を持っています。しかし、その本来の目的から離れて、断食することで、人の信仰の深さを計るということもあったのです。ここでは、人々が主イエスと弟子たちが断食するのを見たことがないために、いったい彼らの信仰はどうなっているのかと尋ねています。主イエスはそれに対して次のようにお答えになります。
折りたての布から布切れをとって、古い服に継ぎあてたりしない。そんなことをすれば、破れは一層ひどくなる。そして、新しいぶどう酒は、古い革袋に入れるものではない、そんなことをすると革袋は裂けてぶどう酒が台無しになる。「新しいぶどう酒は、新しい革袋に入れるものだ」ということです。私たちもクリスマスミサで学んだ通り、神様はお約束された通り、救い主・イエスキリストを私たちに贈ってくださいました。貧しい馬小屋でお生まれになり、私たちのところにこられました。私たちがこの恵みを受けとめて、これまでの生き方を変えなければならない時が今、新年なのです。
では、新しい生き方とは何か。ダラダラ過ごすことをやめる、親の手伝いをもっとする、携帯電話やタブレットに使う時間を減らしもっと勉強する、もっといい成績をとるとか・・・・このように具体的なことを考えるかもしれません。しかし、それはただ自分の生活習慣をなんとか変えるということにすぎません。聖書のいう「新しい生き方」とは、もっともっと深い意味を持ちます。「これまでの生き方」に何かを付け加えることではありません。「これまでの生き方」に不足していたと思われるものを補うことでもありません。それは、わたしたちの人生の土台を変えること、すなわち新たに自分の中に「人生の中心軸」を据えるということです。
「あなたのこれまでの人生の中心軸は何ですか。」「あなたのこれまでの人生の土台は何ですか。」そして「これからはどうですか。」これが、私からあなたへの第3学期の宿題です。新年です、「新しい中心軸」を自分の中に据えましょう。やはり、シスターがおっしゃった「大きな木」がキーワードですね。葉っぱのフレディーが地面に落ちたとき、「自分はこんなに大きな木に連なっていたのだなあ」と改めて知ったと言いました。「大きな木」がまだよく見えていないという人もたくさんいるでしょう。第3学期、一層心を成長させましょう、私もあなたも人としてまた一つステップアップしたいですね。シスターのお話、放送朝礼、宗教の時間、学校行事、そして授業のなかに「大きな木」の答えはきっとあります。直接先生方に尋ねてみてもいいかもしれません。「先生の大きな木は何ですか?」と。
さて、3年生、いよいよ一般入試の始まりです。受験生のアンカーが走り出します。今年はお正月もなかったことでしょうが、誰もが通ってきた道です。あと少し、もう少し、ゴールテープはそこに見えています。このラストランが一番きついですね。今年の箱根駅伝を見ましたか?10区、あと数キロのところで、創価大のアンカーが、駒沢大のアンカーに抜かれました。そこで大きく勝敗が変わった。優勝した大学生ランナーたちは、はやぶさ2の話にでてきたJAXAのように、「周到な計画」と「チームワーク」を持っていた。そして「強靭な精神力と肉体」がありました。大変高い技能をもった選手たちが、それぞれの持ち場で持てる力をすべて発揮する。愚痴らない、落ち込まない、ひたすら前進するための練習だったと選手たちは言います。また、仲間が奮起して走る姿を見て、もっともっと高い課題を自分に課し、仲間と切磋琢磨、伸びていこうと努力する。駒澤大学のアンカー石川選手、自分の仲間の姿を見て、「自分もやってやろう」いや、「やってやる」と勝つ姿を強くイメージして走った・・・陸上部の部室には墨で大きく書かれた文字があった。「己に勝つ」、当たり前のことですが、これを実行するのが一番難しい。人間は苦しくなるとつい自分をかばいたくなる、人のせいにして言い訳したくなる、逃げたくなる、しかし、この弱い自分を超えなければ勝利はないと思っていいでしょう。自分には到底できそうもないことを前に、「できない」と言って諦めるのも自分、「できる」と信じてチャレンジするのも自分です。強い精神力でここを乗り切って欲しいと願っています。まずは来週の「新共通テスト」での健闘を祈っています。次に、「チームワーク」、進路の決まっている3年生は、最後までチームを見守り、チームの世話をすること。駅伝の給水係の姿を見ましたか、自分は選手としては走れなかったが、給水中の選手に伴走しながら、「男だろ、頑張れ」と声をかける姿を見ました。そして、先生たちもあなたたちのそばで一緒に走りながら、「海星生でしょう、頑張れ」と声をかけています。
次に、2年生は3年生の姿をよく見ていてください。これは来年の自分の姿です。3年生は、確固たる目標があるから、選手として走ることができています。どこに向かって走っていったらいいのか分からなければ、腰を下ろしたまま、ずっと同じ場所で休憩していることになります。それは、才能(タラントン)を地中に埋めて隠していた息子の話と同じです。神様はそのような生き方は決して喜ばれません。コロナ禍であっても、時間はいつも通り経過し、受験は予定通り行われます。将来の自分の職業を具体的にイメージし、そこに到達するための短期的な目標を定めながら、「周到な計画」をもって勉学に励みましょう。やってみなければわからない、やってみて見えてくる美しい景色があります。ここにいる全員に神様からの「呼びかけ」callingが必ずあります、耳を澄まして聴き、恐れずに一歩前に踏み出してみてください。
1年生、1年間の総仕上げの時です。海星にきて、何を学ぶことができたでしょうか、宗教行事や宗教、放送朝礼はこれまで中学では経験したことがないものだったでしょう。皆さんの振り返りを見ていると、大変考察が深く、心が動いているのがよく分かります。2年生、3年生へと学年を進めていくと、きっと大きなものを手に入れることでしょう。2年後が心から楽しみです。3学期の始まりに際して、1年生には確認したいことがあります。自身の短期的な目標に目を向けてみてください、勉学、部活動、コース独自の取り組みなど、入学時にたてた目標は達成していますか、一つずつ丁寧に評価してみてください。「やらされている」勉強はつまらない、3学期、もっともっとアクティブに、学びに向かいましょう。
最後に、再びコロナが流行、現在、第3波の真っただ中にあります。東京都、千葉、埼玉、神奈川では、緊急事態宣言が出されました。福岡も、感染者数が急増しており、とても深刻かつ危機的な状況であることには間違いありません。マスク、手洗い、うがい、そして換気の徹底。大きな声で話さないこと、距離を保って友人と話すこと、食事は前を向いてとること、徹底してもらいたいと思います。教育活動が途切れないように、今こそ皆で心を合わせて頑張る時です。また、年末年始も休まず働き通した人がいます。特に、最前線で戦っている医療従事者のご苦労に思いを寄せ、祈ります。あなたにできる最大の支援は、「自分が感染しないこと。」第3学期の始まりです、しまっていきましょう。